糖尿病の治療を受けている方が大腸カメラを予約する際、
「検査当日の朝も糖尿病の薬を飲んでいい?」
「食事をしないのにインスリンを打って大丈夫?」
「糖尿病があっても大腸カメラを受けられる?」
と心配されることがあります。
結論からいうと、糖尿病の治療中でも大腸カメラを受けることは可能です。
ただし、大腸カメラの前には食事制限や絶食が必要になるため、普段と同じように糖尿病薬を服用したり、インスリンを使用したりすると、低血糖などを起こす可能性があります。
そのため、検査前には服用している薬やインスリンの種類を確認し、医師の指示に従って調整することが大切です。
大腸カメラでは、腸の中をきれいな状態にして詳しく観察するため、検査前日から食事内容を調整し、検査当日は朝食を食べずに下剤を服用します。
当院でも、検査予定日の2日前(便秘の方は数日前)から消化のよい食事をお願いし、前日の夕食は21時頃まで、検査当日の朝食は食べないようご案内しています。
糖尿病の薬には血糖値を下げる作用があります。
普段は食事によって血糖値が上昇することを前提に薬やインスリンを使用していますが、大腸カメラ当日は食事を摂らないため、いつもと同じように薬を使用すると血糖値が下がりすぎてしまう場合があります。
つまり、注意すべきなのは「糖尿病だから大腸カメラができない」ということではなく、検査のために食事量が変わることに合わせて、糖尿病治療を適切に調整することです。
糖尿病の飲み薬には、さまざまな種類があります。
例えば、以下のような薬があります。
それぞれ作用が異なり、糖尿病治療には複数の作用を持つ飲み薬や注射薬があります。
そのため、「糖尿病薬ならすべて同じ対応」というわけではありません。
当院では、大腸カメラ検査当日は朝食を摂らず、糖尿病の薬については服用しないようご案内しています。
その他の定期薬については、医師から服用の許可があったものを使用していただきます。
ただし、治療内容や病状によって対応が異なる場合がありますので、自己判断で薬を中止・変更するのではなく、検査前の診察時に必ず服用薬をご確認ください。
インスリン治療を行っている方は、特に事前の確認が重要です。
インスリンは血糖値を下げるために必要な治療ですが、大腸カメラ当日は食事を摂らないため、普段と同じ量を使用すると低血糖を起こす可能性があります。
一方で、インスリンを自己判断で完全に中止することも適切とは限りません。
特に1型糖尿病など、体内でインスリンを十分に作ることができない方では、インスリン治療の継続が重要です。1型糖尿病では、注射製剤によってインスリンを補う必要があります。
また、大腸カメラなどの内視鏡検査では、糖尿病治療薬やインスリンについて検査時の調整が必要になることがあり、特に1型糖尿病の方では主治医への確認が重要です。
そのため、インスリンを使用している方は、事前に以下の内容を医師へお伝えください。
インスリンの種類や治療内容によって対応が異なるため、検査前の診察時に確認することが大切です。
現在の糖尿病治療では、インスリン以外にもGLP-1受容体作動薬などの注射薬が使用されています。
また、週1回投与するタイプの薬もあるため、「検査当日の朝に飲む薬ではないから伝えなくてもよい」と考えず、使用している糖尿病治療薬はすべて事前にお知らせください。
薬によって作用する時間や調整方法が異なるため、検査当日に使用するかどうかについては医師の指示を確認することが大切です。
大腸カメラ当日は朝食を摂らず、腸管洗浄液と呼ばれる下剤を飲んで腸の中をきれいにしていきます。
糖尿病治療中の方では、食事量が普段より大幅に減るため、低血糖に注意が必要です。
低血糖になると、以下のような症状が現れることがあります。
普段から低血糖を起こしやすい方や、過去に低血糖を経験したことがある方は、検査前の診察で必ずお申し出ください。
また、検査当日に体調の変化がある場合には、無理に検査を進めず、スタッフへお伝えください。
大腸カメラが終了し、問題なく飲食を再開できれば、糖尿病治療も再開していくことになります。
ただし、どのタイミングから再開するかは、使用している薬やインスリンの種類、検査後の食事量などによって異なります。
特にポリープを切除した場合には、検査後の食事内容についても指示があります。
「検査が終わったから、いつも通り薬を飲めばよい」と自己判断せず、検査後の服薬やインスリンについても医師からの指示をご確認ください。
「糖尿病があるから大腸カメラは難しいのでは」と心配される方もいらっしゃいますが、糖尿病があることだけを理由に、大腸カメラを避ける必要はありません。
大切なのは、糖尿病の状態や治療内容を事前に医療機関へ伝えることです。
大腸カメラを予約する際には、糖尿病を含む治療中の病気や現在使用している薬について医師・看護師へ伝え、必要に応じて薬の中断や調整について指示を受けることが重要です。
便潜血検査で陽性になった、血便が出た、便秘や下痢など便通の変化が続いているなど、大腸カメラが必要と考えられる場合には、糖尿病治療中であることを理由に検査を先延ばしにせず、まずは医師へご相談ください。
糖尿病の治療中に大腸カメラを受ける場合、検査前の診察で服用している薬を正確に確認することが重要です。
薬の名前を覚えていなくても構いませんので、お薬手帳や使用している薬・インスリンが分かるものをご持参ください。
特に、以下に該当する方は事前に必ずお伝えください。
当院では、大腸カメラの1週間前までに一度ご来院いただき、下剤のお渡しや前日の食事についての説明、医師による診察を行っています。
その際に糖尿病の治療内容についても確認し、検査当日の薬についてご案内します。
糖尿病の薬やインスリンを使用している方でも、大腸カメラを受けることは可能です。
ただし、大腸カメラでは検査前の食事制限や当日の絶食が必要となるため、普段と同じように糖尿病薬やインスリンを使用すると低血糖などを起こす可能性があります。
一方で、特にインスリン治療中の方では、自己判断による中止が適切ではない場合もあります。
そのため、「検査だから糖尿病の薬を全部やめる」「いつも通り薬やインスリンを使う」のいずれも自己判断では行わず、事前に医師の指示を確認することが大切です。
当院で大腸カメラをご希望の方は、お薬手帳や現在使用しているインスリン・注射薬が分かるものをご持参いただき、検査前の診察時にご相談ください。

日本内科学会総合内科専門医・指導医
日本消化器内視鏡学会専門医・指導医
日本消化器病学会専門医
専門は消化管、特に下部消化管(大腸など)。下部消化管の中でも腫瘍(がん)を専門に研鑽を積む。軸保持短縮大腸挿入法を考案・はじめられた本家本元の秋田赤十字病院で修行し、2018年に「あべ胃腸内視鏡・内科」を開業。患者さんに苦痛をなるべく与えない内視鏡検査にこだわり、患者さん一人一人に丁寧・安全に満足してもらえる、良質な大腸内視鏡検査を提供していくクリニックを目指しています。
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