血液をサラサラにする薬を服用している方の中には、
「大腸カメラを受けても大丈夫?」
「検査前には薬を止めたほうがよい?」
「ポリープが見つかった場合、その場で切除できる?」
と不安に思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
結論からいうと、血液をサラサラにする薬を服用していても、大腸カメラそのものを受けることは可能です。
ただし、大腸カメラでは観察だけで終わる場合もあれば、病変の一部を採取する「生検」や、大腸ポリープの切除を行う場合もあります。
そのため、服用している薬の種類や数、薬が必要となっている病気、予定する処置などを確認したうえで対応を判断する必要があります。
特に重要なのが、大腸カメラを受けるからといって、血液をサラサラにする薬を自己判断で中止しないことです。
一般的に「血液をサラサラにする薬」と呼ばれている薬は、医学的には「抗血栓薬」と呼ばれ、大きく「抗血小板薬」と「抗凝固薬」に分けられます。
抗血小板薬にはアスピリンやクロピドグレルなどがあり、抗凝固薬にはワルファリンのほか、DOAC(直接経口抗凝固薬)と呼ばれる薬があります。
これらは、脳梗塞や心筋梗塞などの血栓症を予防する目的や、心房細動などの病気に対して処方されることがあります。
血液が固まる働きを抑えることで血栓を防ぐ一方、組織を採取したりポリープを切除したりした際には、出血が止まりにくくなる可能性があります。
そのため、大腸カメラでは「出血のリスク」と「薬を中止することによる血栓症のリスク」の両方を考えて判断することが大切です。
日本消化器内視鏡学会でも、内視鏡処置の内容や抗血栓薬の種類・数などを踏まえて、休薬の必要性を判断する考え方が示されています。
腸の中を観察することが目的の大腸カメラであれば、血液をサラサラにする薬を服用していても、基本的には検査を行うことが可能です。
日本消化器内視鏡学会でも、抗血栓薬を服用している方が「観察のみ」の内視鏡検査を受ける場合には、基本的に休薬は必要ないとされています。
ただし、大腸カメラでは検査をしてみないと、ポリープなどの病変があるかどうか分からない場合があります。
実際の検査では、状況によって以下のような対応を行います。
特にポリープ切除は出血を伴う可能性があるため、血液をサラサラにする薬を服用している場合には、より慎重な判断が必要になります。
「大腸カメラの日だけ薬を飲まなければよいのでは?」と考える方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、自己判断による休薬は避けてください。
抗血栓薬は、脳梗塞や心筋梗塞など重大な病気を予防するために処方されていることがあります。
薬を中止すると、出血のリスクは下がっても、反対に血栓ができるリスクが高まる可能性があります。
日本消化器内視鏡学会でも、以前は内視鏡検査前に抗血栓薬を休薬することがありましたが、休薬中に血栓塞栓症を起こす危険性があることから、現在は血栓症のリスクも重視して対応する考え方となっています。
そのため、以下については服用している薬や病気の状態などを確認し、医師の指示に従うことが重要です。
大腸カメラでは、検査中に大腸ポリープが見つかることがあります。
大腸ポリープの中には将来的に大腸がんへ進行する可能性のあるものもあるため、当院では内視鏡診断を行ったうえで、治療が必要と判断したポリープについては可能な範囲でその場で切除を行っています。
小さなポリープでは、電気を使用せず切除する「コールドポリペクトミー」という方法を行うこともあります。
一般的に術後の出血が少ない方法ですが、出血の可能性がなくなるわけではありません。
特に、以下のような場合には、安全性を考慮して治療方法を判断する必要があります。
当院では、抗血小板薬・抗凝固薬を服用している方や2cmを超える大きなポリープなど、切除後の出血リスクが高いと判断される場合には安全性を優先し、必要に応じて入院での治療が可能な高次医療機関をご紹介しています。
「せっかく大腸カメラを受けるのだから、その場ですべて切除してほしい」と思われるかもしれませんが、無理に日帰りで治療するのではなく、患者さんごとのリスクを考えて治療方法を選択することが重要です。
血液をサラサラにする薬を服用している方が大腸カメラを希望される場合は、事前に服用薬を正確に確認することが大切です。
薬の名前を覚えていなくても問題ありませんので、お薬手帳や服用している薬が分かるものをご持参ください。
日本消化器内視鏡学会でも、大腸カメラを予約する際には、血液を固まりにくくする薬を含め、現在使用している薬がある場合はお薬手帳を持参するよう案内しています。
また、以下についても分かる範囲でお伝えください。
必要に応じて、薬を処方している医師とも相談しながら検査・治療方法を検討します。
大腸ポリープを切除した場合、その場では出血がなくても、数日後に切除部位から出血する「遅発性出血」が起こることがあります。
特に抗血小板薬や抗凝固薬を服用している方では、薬の再開時期も含めて個別の判断が必要です。
当院では、切除したポリープの大きさや数、出血リスクなどに応じて、治療後の生活や薬について個別にご説明しています。
検査後は医師から説明された安静期間や服薬方法を守りましょう。
また、帰宅後に多量の血便が出る、出血が続く、強い腹痛があるなど、普段と異なる症状がみられた場合には、医療機関への相談が必要です。
血液をサラサラにする薬を服用していると、「検査で出血するのが怖いから大腸カメラは受けないほうがよいのでは」と考えてしまう方もいらっしゃいます。
しかし、薬を服用していることだけを理由に、大腸カメラそのものを避ける必要はありません。
便潜血検査で陽性になった、血便が出た、便通の変化が続いている、大腸ポリープを指摘されたことがあるなど、大腸カメラが必要と考えられる場合には、まず医師へご相談ください。
服用している薬や持病を確認したうえで、安全性を考慮しながら検査方法を検討します。
血液をサラサラにする薬(抗血栓薬)を服用していても、大腸カメラを受けることは可能です。
ただし、単に大腸の中を観察する場合と、組織検査や大腸ポリープ切除を行う場合とでは出血のリスクが異なります。
また、薬を中止することで脳梗塞や心筋梗塞などのリスクが高まる可能性もあるため、「大腸カメラを受けるから薬を止める」という自己判断はしないでください。
当院では、服用している薬の種類や患者さんの状態、大腸ポリープの大きさなどを確認し、安全性を優先して検査・治療方法を判断しています。
血液をサラサラにする薬を服用中で大腸カメラをご検討の方は、お薬手帳をご持参のうえ、事前にご相談ください。

日本内科学会総合内科専門医・指導医
日本消化器内視鏡学会専門医・指導医
日本消化器病学会専門医
専門は消化管、特に下部消化管(大腸など)。下部消化管の中でも腫瘍(がん)を専門に研鑽を積む。軸保持短縮大腸挿入法を考案・はじめられた本家本元の秋田赤十字病院で修行し、2018年に「あべ胃腸内視鏡・内科」を開業。患者さんに苦痛をなるべく与えない内視鏡検査にこだわり、患者さん一人一人に丁寧・安全に満足してもらえる、良質な大腸内視鏡検査を提供していくクリニックを目指しています。
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