大腸ポリープ
大腸の粘膜からその内側の管腔にイボのように隆起したものをポリープといいます。
大腸ポリープはその構造(組織)により腫瘍性のポリープとそれ以外(非腫瘍性)のものに分けられます。
このうち大腸がんになる可能性があるものは腫瘍性ポリープである「腺腫」です。
大腸がんは、正常な粘膜から腺腫(良性腫瘍)が生じ、それが悪性化してがんになる場合と、まれに腺腫の状態を経ずに一気にがんになる場合とがあります。
このうち、腺腫になった後に大腸がんになるものについては、腺腫のうちにそのポリープを切除してしまうことで、大腸がんを予防することができます。
大腸ポリープ
大腸ポリープ 〜前編〜
大腸ポリープ
大腸ポリープ 〜後編〜
大腸ポリープ

症状

大腸ポリープはほとんどの場合、患者さんの自覚症状はありません。特に小さいポリープではまず症状はありません。
そのため、大腸がんになる可能性のあるポリープを早期に見つけるためには、がん検診をうけていただくことが大切です。
大腸癌の患者さんの中には、がんが発生しやすい家計の方がいます(遺伝性大腸がん)。
血縁者に大腸ポリープや大腸がんの方がいる場合には、早めの検査がおすすめです。

どのようにして見つかるの?

大腸内視鏡検査(大腸カメラ)で発見されることがほとんどです。
腹痛や血便、便が細い、便秘と下痢を繰り返す、腹部膨満などの症状のある方、便潜血検査で陽性の方(便に微量の血液が混じっているかを調べる検査)などに内視鏡で精密検査を行う際に見つかります。
肛門から内視鏡をいれていくことで、病変を直接みることができ、形や大きさだけでなく、表面の模様などから治療が必要かを判定することができます。
さらに内視鏡で治療できる場合にはそのまま切り取ることも可能ですし、確定診断のために組織を採取することもできます。

切除が必要なポリープ

一般的には「径6mm以上の腺腫」と「リンパ節への転移の可能性がほとんどなく内視鏡を使って一括で切除できるがん」が内視鏡治療の適応となるポリープです。ただし、径5mm以下の良性腫瘍でも、平坦あるいはへこんだ形のものや、がんとの区別が難しい場合には内視鏡治療の適応となります。
直腸やS状結腸でよくみられる過形成性ポリープは放置しておいて大丈夫です。
治療する必要があるポリープ(腺腫など)かを判定するために、表面の構造がわかりやすくなる特殊な光を当て、病変を拡大して観察する方法や、無害な青い色素を撒布して観察する方法などが用いられます。

内視鏡治療について

便潜血検査により、2日間の便を調べて1日でも陽性と判定されれば、一般に内視鏡による精密検査を行います。
大腸ポリープが発見された場合、まずは治療を必要とするポリープか診断後、内視鏡から特殊な光を出して病変を拡大して観察する方法や、内視鏡で治療できる場合には、検査と同時に切除治療することも可能で確定診断のための組織を採取することもできます。
検査前には下剤を内服するなどして腸のなかを空にする必要があるため、患者さんへの負担も少なくない検査です。

多くの患者さんの場合ポリープと診断された際、「がんになる可能性があるのではないか」と不安をもたれるのではないでしょうか?
「ポリープ」というのは、イボのような突起物を意味する言葉で病気を指す言葉ではなく、ポリープと呼ばれるものが全て同じようにがんになる危険をもつわけではありません。大腸にたくさんのポリープが発生する家族性大腸腺腫症と、ポリープの数は少ないですが大腸がんが家族内に多く発生するリンチ症候群がありますので、親子兄弟などの血縁関係者に大腸ポリープや大腸がんと診断された方がいる場合は、早期発見のために定期的に検査を受けることが大切です。

内視鏡によりポリープや早期がんを治療する方法にはいくつかの種類があります。
「ポリペクトミー」、「内視鏡的粘膜切除術(EMR)」、「内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)」といわれるものがあります。
これらは病変の形や大きさに応じて使い分けられます。

ポリペクトミー

ポリープの茎にスネアという金属性の輪をかけて、高周波電流を流して切り取ります。茎のある形のポリープなどに用いられます。

EMR

粘膜の下に薬液を注入し、病変を持ち上げ、スネアをかけて切り取ります。茎のない平坦な形のポリープなどに用いられます。

ESD

粘膜の下に薬液を注入し、専用の電気メスで病変の周囲の粘膜を切開し、病変を少しずつ剥離して切除します。
大きな病変や、薬液で病変が持ち上がらないときなどに用いられます。