便潜血陽性
健康診断あるいは大腸がん検診で、「検便の検査(便潜血検査)が陽性です」と指摘されることがあります。
「もしかして、大腸がん?」と不安になる方もいらっしゃると思います。
見た目では出血がなくても、検査をすると血液が検出される状態が「便潜血陽性」です。
便潜血反応が陽性ということは何が疑われるのでしょうか? またその場合、どのような検査を受ければよいのでしょうか?
便潜血陽性 〜前編〜
便潜血陽性
便潜血陽性 〜後編〜
便潜血陽性

原因

大便潜血陽性とは「採取した便の中に、血液が混じっている」状態です。出血が多ければ肉眼で判断ができますが、出血が微量だと肉眼ではわかりません。見た目では出血がなくても、便の検査をすると血液が検出される状態が「便潜血陽性」です。
便の検査は、ヒトヘモグロビンに対する抗体を用いて血液の有無を検出する方法で,豚,牛あるいは魚類の血液には反応しません。胃酸や胃・膵液由来の消化液によりヘモグロビンが変性する上部消化管出血は検出できず,下部消化管,大腸での出血の有無を検出する場合に用いられます。
便潜血検査が陽性となるには、大腸がんなど出血している病変があることが要因となりますが、ポリープやがんの場合はある程度大きくならないと出血することが少ないので、便潜血検査では陽性になりにくいことがあります。そのため、ポリープや早期の大腸がんでは便潜血の検査が陰性となることがあるので、注意が必要です。『便潜血検査が陰性だからと大腸がんがないとはいい切れない』ということです。その他の炎症性の腸疾患や痔核や裂肛などの肛門疾患でも便潜血陽性となりますし、原因不明のこともあります。
集団検診の報告では,便潜血陽性になる方は1,000人いたら50人ほどになります。さらにそのうちの2-3%である1~2人が大腸がんと診断されます。なお,便潜血反応による大腸癌検出率は,進行癌で60~75%,早期癌で30~40%であり,2日間連続検査法を行うことで10~15%程度検出率が改善するとされています。

診断

便潜血検査は主に大腸がんを調べる検査ですが、体に負担がかからない検査であり、費用が安価と優れた検査です。便潜血検査は40歳以上の男女で毎年受けていくことが推奨されています。
便潜血陽性といわれたら、必ず精密検査をうけましょう。現在では大腸の内視鏡検査(カメラ)がもっとも確実な方法と考えます。他の検査もありますが、バリウムの検査では便とポリープとの判別がつかないことがありますし、CTによる大腸検査やカプセル内視鏡の発達は目覚ましいものですが、未だ見つけにくい病変があることや、組織を採取する病理検査がおこなえない欠点もあります。
大腸内視鏡検査(大腸カメラ)、特に早期大腸がんの診断と治療においては、日本が世界をリードしている分野でもあります。
また、大腸カメラに伴う心配事も、鎮静剤・鎮痛剤を注射することで、眠っている間に検査が終わるようになってきましたし、腸をきれいにするための前処置の液体薬も、飲みやすい、量が少なくてすむ、など新しい薬もでてきております。
悩んだり、迷ったりしたら、ぜひご相談ください。
便潜血陽性を指摘されたのに、そのままにしておいて、数年後に後悔したりするのはもうやめましょう!
笑顔で外来にておまちしております。

検査

大腸癌は40歳代から増え始め、治療しやすいがんですが、患者数は増加傾向にあるので早期発見が重要です。高齢になるほどリスクが高くなります。便潜血検査は、40歳以上の男女で毎年受けていくことが推奨されています。

ポリープや早期の大腸がんでは便潜血検査が陰性となることがあり、注意が必要です。『便潜血検査が陰性だからと大腸がんがないとはいい切れない』ため、50歳前後で一度は大腸内視鏡をうけることをおすすめします。
〜こんな人は要注意!〜
  • 血縁者に大腸がんの人がいる
  • 太っている
  • お酒が好き
  • たばこを吸う
  • 赤身肉・加工肉が好き