大腸の病気を早期に発見し、適切に対処するためには、定期的な検査が欠かせません。特に大腸がんやポリープは、初期段階では自覚症状がほとんどないため、検査による早期発見が非常に重要です。
一言で「大腸の検査」といっても、さまざまな方法があり、それぞれ目的や特性が異なります。ここでは、現在主に行われている大腸の検査方法についてご紹介します。

※なお、当院では、大腸内視鏡検査（大腸カメラ）に特化した診療を行っています。

便潜血検査について

便潜血検査は、健康診断などで一般的に行われているスクリーニング検査です。検査は自宅で行える簡便なもので、便の中に混じっている目に見えない血液を調べることによって、大腸に何らかの出血を伴う病変があるかどうかを確認します。

この検査は手軽でありながら大腸がんの早期発見に役立つことがありますが、便に血が混じっていない場合は異常があっても見逃されることがあります。あくまでも「ふるい分け」の役割であり、異常が見つかった場合には精密検査が必要です。

大腸内視鏡検査（大腸カメラ）

大腸内視鏡検査は、肛門からカメラ付きの細いスコープを挿入して大腸全体を直接観察する検査方法です。ポリープや腫瘍などの異常をその場で確認できるだけでなく、必要に応じて組織を採取したり、ポリープを切除したりすることも可能です。

検査前には下剤を用いて腸をきれいにする必要がありますが、正確性が高く、治療にもつながる検査として非常に優れています。当院でもこの大腸内視鏡検査を中心に診療を行っており、炭酸ガス送気や鎮静剤の使用により、苦痛を抑えた安全な検査を提供しています。

大腸CT検査（CTコロノグラフィ）

大腸CT検査は、体の外からCTスキャナを用いて大腸の断面画像を撮影する検査です。腸の中に炭酸ガスを注入して膨らませた状態で撮影することで、ポリープや腫瘍を立体的に捉えることができます。

身体の内部にスコープを挿入する必要がないため、内視鏡に抵抗がある方にとっては受けやすい方法ではありますが、ポリープが見つかった場合には別途内視鏡検査が必要になります。診断のみで治療ができない点がデメリットです。

大腸X線バリウム検査（注腸造影検査）

大腸X線バリウム検査は、バリウムと空気を肛門から注入し、X線撮影によって大腸の形状を調べる方法です。かつては広く行われていましたが、現在では内視鏡の普及に伴い実施例が減少しています。

内視鏡と比較すると診断精度や詳細な観察力に限界があり、またバリウムによる便秘や腸閉塞のリスクもあります。

大腸カプセル内視鏡検査

大腸カプセル内視鏡は、カメラを内蔵したカプセル型の機器を飲み込み、自動的に腸の中を撮影していく検査です。体への負担が少ないという利点がありますが、撮影された画像が不完全な場合や、病変が見逃される可能性もあるため、補助的な役割にとどまることが多いのが実情です。

また、カプセルが腸の中を順調に進まないケースや、撮影できない部位が出てしまうこともあり、結果として内視鏡検査が必要になる場合もあります。保険適用には制限があり、誰でも気軽に受けられる検査ではありません。

まとめ

大腸の検査には、便潜血検査やCT検査、X線検査、カプセル検査などさまざまな選択肢があります。当院では、専門的な技術と体制で、大腸内視鏡検査を通じた早期発見・予防医療を提供しております。検査方法に迷ったときは、どうぞお気軽にご相談ください。

この記事を書いた人

あべ胃腸内視鏡・内科
院長 阿部太郎

資格など

日本内科学会総合内科専門医・指導医
日本消化器内視鏡学会専門医・指導医
日本消化器病学会専門医

専門は消化管、特に下部消化管（大腸など）。下部消化管の中でも腫瘍（がん）を専門に研鑽を積む。軸保持短縮大腸挿入法を考案・はじめられた本家本元の秋田赤十字病院で修行し、2018年に「あべ胃腸内視鏡・内科」を開業。患者さんに苦痛をなるべく与えない内視鏡検査にこだわり、患者さん一人一人に丁寧・安全に満足してもらえる、良質な大腸内視鏡検査を提供していくクリニックを目指しています。