健康診断で便潜血検査を受け、「1回だけ陽性でした」「今回が初めて陽性と言われました」と結果を受け取ると、不安になる方も多いのではないでしょうか。
「1回だけなら様子を見てもいいのでは?」
「痔があるから、そのせいかもしれない」
と考えてしまう方もいらっしゃいます。
しかし、便潜血検査で陽性となった場合は、陽性が1回だけであっても、大腸カメラ(大腸内視鏡検査)を受けることが勧められます。
今回は、その理由や検査の必要性について解説します。
便潜血検査は、便に血液が混じっていないかを調べる検査です。一般的な健康診断では2日分の便を提出しますが、2回のうち1回だけ陽性だった場合でも「異常なし」とは判断できません。
大腸ポリープや大腸がんからの出血は、毎回起こるとは限らず、出血した日の便だけが陽性になることもあります。
そのため、「1回だけだから大丈夫」と自己判断せず、原因を調べることが大切です。
便潜血が陽性だったからと言って必ずしもそれは大腸がんがあることを示すわけではありません。
便潜血検査(2日法)では一般に、
・進行がんの9割が便潜血陽性となる
・早期がんの6割が便潜血陽性となる
と言われています。
「これまでずっと陰性だったのに、今回初めて陽性になった」という方も少なくありません。
便潜血が陽性になる原因としては、
など、さまざまなものが考えられます。
もちろん、必ず重大な病気が見つかるわけではありません。しかし、便潜血検査だけでは出血の原因を特定することはできません。
そのため、原因を確認する目的で大腸カメラを受けることが重要です。
便潜血が陽性だった方から、「痔があるので、そのせいだと思います」というお話を伺うことがあります。
確かに痔からの出血で陽性になることはありますが、痔がある方でも、大腸ポリープや大腸がんが見つかることがあります。
出血の原因を痔だけと決めつけてしまうと、本来見つけられたはずの病気を見逃してしまう可能性があります。
原因をはっきりさせるためにも、一度大腸カメラで確認することが大切です。
大腸カメラでは、大腸全体を直接観察できるため、便潜血陽性の原因を詳しく調べることができます。
例えば、
などを確認できます。
また、ポリープが見つかった場合には、その場で切除できることもあります。良性のポリープであれば、切除のみで治療が終了するケースも少なくありません。
「もう一度便潜血検査を受ければ陰性になるかもしれない」と考える方もいらっしゃいます。
しかし、一般的には便潜血陽性となった場合は、便潜血検査を繰り返すのではなく、大腸カメラによる精密検査が推奨されています。
再検査で陰性になったとしても、出血している病変がないとは言い切れないためです。
便潜血検査(2日法)では
・進行がんの9割が便潜血陽性となる
・早期がんの6割が便潜血陽性となる
とお伝えしましたが、逆に言えば、進行がんでも1割の方は、また、早期がんでも4割の方は便潜血検査では発見できないというわけになります。
だからこそ、大腸カメラを受け、ポリープ、早期がんが無いかを確かめると、安心いただけると思います。
便潜血検査で1回だけ陽性だった場合や、今回初めて陽性になった場合でも、自己判断で様子を見ることはおすすめできません。
便潜血陽性は、必ずしも大腸がんを意味するわけではありません。
しかし、病気を早い段階で見つける大切なサインになることがあります。
陽性の結果を受け取った際は、そのままにせず、一度大腸カメラについてご相談ください。早期発見・早期治療につながることがあります。

日本内科学会総合内科専門医・指導医
日本消化器内視鏡学会専門医・指導医
日本消化器病学会専門医
専門は消化管、特に下部消化管(大腸など)。下部消化管の中でも腫瘍(がん)を専門に研鑽を積む。軸保持短縮大腸挿入法を考案・はじめられた本家本元の秋田赤十字病院で修行し、2018年に「あべ胃腸内視鏡・内科」を開業。患者さんに苦痛をなるべく与えない内視鏡検査にこだわり、患者さん一人一人に丁寧・安全に満足してもらえる、良質な大腸内視鏡検査を提供していくクリニックを目指しています。
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