高血圧
高血圧
血圧とは、血管の中を血液が流れる際に、血管の壁にかかる圧力のことで、これが一定以上に高い状態がつづく病状です。
血管が痛めつけられ、その老化現象(動脈硬化)が早くすすんでしまいます。脳卒中や心筋梗塞、腎不全など全身の疾患をひきおこします。
診断基準
成人における血圧値の分類(mmHg)分類 | 収縮期血圧(最高血圧) | 拡張期血圧(最低血圧) |
至適血圧 | <120 かつ <80 | |
正常血圧 | 120〜129 かつ/または 80〜84 | |
正常高値血圧 | 130〜139 かつ/または 85〜89 | |
I度高血圧 | 140〜159 かつ/または 90〜99 | |
II度高血圧 | 160〜179 かつ/または 100〜109 | |
III度高血圧 | ≧180 かつ/または ≧110 |
高血圧を放置していると
高血圧によって最もリスクが高くなるのが、脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血など)です。
収縮期血圧(最高血圧)が10mmHg上昇すると、脳卒中のリスクが男性で約20%、女性で約15%高くなります。
脳卒中は命が助かっても、運動障害や言語障害が残りやすく、長期のリハビリが必要となることも少なくありません。
高血圧は、心疾患のリスクも高めます。特に、男性の場合は影響が大きく、収縮期血圧が10mmHg高くなると、
心筋梗塞や狭心症の危険度が約15%増加します。
血圧が高いと腎臓にも大きな負担がかかり、血液中のナトリウムなどの排泄がうまくいかず、
さらに血圧が上昇する悪循環を起こしやすくなります。
慢性腎臓病を起こすと、脳卒中や心筋梗塞による死亡率も高くなってしまいます。
一般に血圧は、高齢になるほど高くなる傾向があります。
しかし、日本では、30、40歳代の比較的若い世代でも、すでに約半数近くの人が高血圧の状態です。
しかもこの世代の場合、80〜90%もの人が治療を受けていません。高血圧の状態を長期間放置していると、
それだけ血管の傷みも進み、いきなり脳卒中や心筋梗塞を起こしてしまうかもしれません。
食生活の見直し
日本人の高血圧の最大の原因とされるのが、食塩摂取量の多さです。
日本人の1日の食塩摂取量は約10gにもなります(国民健康・栄養調査2014年)。
日本高血圧学会のガイドラインでは、1日当たりの塩分(食塩)摂取量の目標を「6g未満」と設定しています。
薄味に少しずつ慣れるようにしましょう。ラーメンやそば、うどんの汁は残す。寿司につけるしょうゆの量を減らす。
揚げ物や焼肉などは、しょうゆやソースでなく、レモンやユズ、こしょう、ごまで食べる。
天然だし(昆布、シイタケなど)をつかい、しょうゆや塩を減らす。
ミネラル類もしっかりとりましょう。
カリウムには、腎臓から余分な塩分(ナトリウム)を排出する働きがあります。マグネシウムは、その働きを助けます。
カリウムは野菜や果物、海藻類、豆類などに多く含まれています。中でも野菜類や海藻類はカロリーが低く、
メタボリックシンドロームの人にもいいので、おすすめされています。
また、マグネシウムは、海藻やナッツ類、豆類などに含まれています。野菜サラダに豆やナッツを入れるのもいい方法です。
ただし、血糖値が高い人は果糖の多い果物はお控えください。
また腎臓病の場合には、カリウムのとりすぎで悪化することもあるので、主治医にご相談下さい。
生活習慣の見直し
肥満の解消
肥満は高血圧の大きな危険因子であることが明らかになっています。
特に、内臓脂肪型肥満は血圧上昇と関連が深く、減量すると血圧が下がるという報告があります。
節酒
飲酒習慣は血圧上昇の原因となります。エタノールで男性20〜30ml(おおよそ日本酒1合、ビール中瓶1本、焼酎半合弱、ウイスキー・ブランデーダブル1杯、ワイン2杯弱に相当)/日以下、女性はその約半分にしましょう。

適度な運動
ウォーキング、アクアサイズ(水中運動)、サイクリングなどの有酸素運動を行いましょう。
軽く汗ばむ程度、軽く息がはずむ程度の運動を1日に30分程度、週に3-4回行いましょう。
ストレスをためない
ストレスは血圧を一時的に上昇させます。ストレスが繰り返されると、交感神経の緊張状態が続いて血管は収縮し、血圧は高い状態を持続するようになります。
食生活・生活習慣の見直しをおこなっても血圧がさがらない場合には、健康寿命をながくする為に、薬をのむことも考えましょう。